国際バカロレア機構(本部ジュネーブ)は、国際的な教育プログラムを提供する組織です。
国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)は、1968年、チャレンジに満ちた総合的な教育プログラムとして設置されました。世界の複雑さを理解して、そのことに対処できる生徒を育成し、未来へ責任ある行動をとるための態度とスキルの定着をねらいとしています。また、国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を与え、大学進学へのルートを確保することを目的としています。
IBのディプロマ・プログラム(DP)は、世界で約5,800校で実施。
所定のカリキュラムを2年間履修し、最終試験を経て所定の成績を収めると、国際的に認められるIBディプロマ(国際バカロレア資格)が取得できます。
海外の多くの大学(100ヵ国以上20,000校以上)が、IBディプロマを入学資格として認めています。
The International Baccalaureate® aims to develop inquiring,
knowledgeable and caring young people
who help to create a better and more peaceful world
through intercultural understanding and respect.
To this end the organization works with schools, governments
and international organizations to develop challenging
programmes of international education and rigorous
assessment.
These programmes encourage students across the world to
become active, compassionate and lifelong learners who
understand that other people, with their differences, can also
be right.
国際バカロレア(IB)は、多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、
より良い、より平和な世界を築くことに貢献する、探究心、知識、
思いやりに富んだ若者の育成を目的としています。
この目的のため、IBは、学校や政府、国際機関と協力しながら、
チャレンジに満ちた国際教育プログラムと
厳格な評価の仕組みの開発に取り組んでいます。
IBのプログラムは、世界各地で学ぶ児童生徒に、
人がもつ違いを違いとして理解し、自分と異なる考えの人々にも
それぞれの正しさがあり得ると認めることのできる人として、
積極的に、そして共感する心をもって生涯にわたって
学び続けるよう働きかけています。
IBの学習者像は、IBワールドスクール(IB認定校)が価値を置く人間性を、10の人物像として表しています。
こうした人物像は全て、個人や集団が地域社会や国、そしてグローバルなコミュニティーの
責任ある一員となることに資するものです。
私たちは、好奇心を育み、探究し研究するスキルを身につけます。
ひとりで学んだり、他の人々と共に学んだりします。熱意をもって学び、学ぶ喜びを生涯を通じてもち続けます。
私たちは、概念的な理解を深めて活用し、幅広い分野の知識を探究します。地域社会やグローバル社会における重要な課題や考えに取り組みます。
私たちは、複雑な問題を分析し、責任ある行動をとるために、批判的かつ創造的に考えるスキルを活用します。率先して理性的で倫理的な判断を下します。
私たちは、複数の言語やさまざまな方法を用いて、自信をもって創造的に自分自身を表現します。他の人々や他の集団のものの見方に注意深く耳を傾け、効果的に協力し合います。
私たちは、誠実かつ正直に、公正な考えと強い正義感をもって行動します。そして、あらゆる人々がもつ尊厳と権利を尊重して行動します。
私たちは、自分自身の行動とそれに伴う結果に責任をもちます。
私たちは、自己の文化と個人的な経験の真価を正しく受け止めると同時に、他の人々の価値観や伝統の真価もまた正しく受け止めます。
多様な視点を求め、価値を見いだし、その経験を糧に成長しようと努めます。
私たちは、思いやりと共感、そして尊重の精神を示します。人の役に立ち、他の人々の生活や私たちを取り巻く世界を良くするために行動します。
私たちは、不確実な事態に対し、熟慮と決断力をもって向き合います。ひとりで、または協力して新しい考えや方法を探究します。
挑戦と変化に機知に富んだ方法で快活に取り組みます。
私たちは、自分自身や他の人々の幸福にとって、私たちの生を構成する知性、身体、心のバランスをとることが大切だと理解しています。
また、私たちが他の人々や、私たちが住むこの世界と相互に依存していることを認識しています。
私たちは、世界について、そして自分の考えや経験について、深く考察します。自分自身の学びと成長を促すため、自分の長所と短所を理解するよう努めます。
「探究」(inquiry)、「行動」(action)、「振り返り」(reflection)を通じて、思考や自己管理、社会的なコミュニケーション、研究などのためのさまざまなスキルを発達させることを目指しています。DPの学びは、具体的には3つのコア科目(「知の理論」、「創造性・活動・奉仕」、「課題論文」)と6つの教科グループで構成されています。3 つのコア科目は、IB 教育の哲学を具現化したDP の核であり、全ての学びはこれらの3つのコア科目と強く結びついています。
「知の理論」(TOK:Theory of Knowledge)では、批判的思考(クリティカル・シンキング) に取り組みます。具体的な知識そのものでなく、知るプロセスを探究します。「知識の本質」について考え、知識の構築に関する問いを探究します。
TOKの目的は共有された「知識の領域」の間のつながりを重視し、それを「個人的な知識」に結びつけることで、生徒が自分なりのものの見方や他人との違いを自覚できるよう促していくことにあります。
「課題論文」(EE:Extended Essay) では関心のあるトピックの個人研究に取り組み、研究成果を4000 語( 日本語の場合は8000 字) の論文にまとめます。EEでは、履修しているDP 科目から1 科目を選び、対象とする研究分野を定めます。高いレベルのリサーチスキル、記述力、創造性を育成し、知的発見を促すことを目的としており、自分自身で選択したトピックに関する研究に自立的に取り組む機会となります。
「創造性・活動・奉仕」(CAS:Creativity, Activity, Service) は、「IB の使命」や「IB の学習者像」の倫理原則に沿って自分自身のアイデンティティーを構築することを後押しします。DPの期間を通じてアカデミックな学習と同時並行で多岐にわたる活動を行います。
CASは、芸術などの活動に取り組む「創造性」、健康的なライフスタイルの実践を促す身体的活動としての「活動」、無報酬で自発的な交流活動を行う「奉仕」の3つの要素で構成されています。
CASはDPを構成する他のどの要素よりも「多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、より良い、より平和な世界を築く」という「IB の使命」に貢献しているといえるかもしれません。
6つの教科グループからそれぞれ1科目を選択して学びます。通常、3科目を上級レベル(Higher Level:HL) で、3科目を標準レベル(Standard Level:SL) で履修します。
各科目では多くの課題(コースワーク) が日常的に課されます。各科目の修了時にIBによる外部評価で学力が評価されます。