#レポート

3年次生20名が広島・瀬戸内を巡る5泊6日の研究旅行を実施しました

学校設定科目「ミライのための平和プロジェクト」を履修する3年次生20名が、7月27日から8月1日までの6日間、広島と瀬戸内海の島々を巡る研究旅行を行いました。

本校では1970年代より、平和な社会の実現に主体的に関わるための広島研究旅行を行っています。今年の研究旅行1日目は、旧日本軍が毒ガスを製造した大久野島を訪問しました。生徒たちは島に残る戦争遺構をたどり、日本が毒ガス兵器によって加害する側となった歴史にまず目を向けました。翌日はホロコースト記念館を訪ね、毒ガスを含む大量殺戮の歴史をたどりながら、どこまで人間が他者を排除し、その生命や尊厳を奪ったのかを考えました。

その後、比治山陸軍墓地、旧陸軍被服支廠など「軍都」広島の痕跡を巡り、3日目には広島平和記念資料館、原爆ドーム、平和記念公園を訪れ、そこで被爆家族伝承者である細川洋先生から大切な講話をいただきました。大久野島からホロコースト、軍都広島、そして被爆地へと場所を移すことで、加害と被害のどちらか一方に立つのではなく、人類の一人として平和を多面的に考える前半となりました。

後半は、瀬戸内海の直島と豊島へと移動しました。前半で人間が作り出した非人道的な世界に向き合った生徒たちは、後半はアートや自然、地域に生きる人々の営みのなかで、自分たちが作り出したい世界について考えました。

直島新美術館では、それまでアートには興味がなかったものの、学校のテストと違い正解がない作品の解釈について仲間と語り合ううちに、自分一人では想像できなかった見方が生まれる面白さを発見した生徒もいました。アートを見て語りあうことは、作品について知るだけでなく、自分とは異なる他者の見方を尊重する、平和の文化を作る共同作業でもありました。

最後に訪れた豊島美術館では、さらに学校や言葉から離れて、風、水、光、鳥や虫の声だけが感じられる空間で、スマートフォンをしまい、「普段意識しない音とか風とかが大きく感じた」と記した生徒、自分自身がアートの中に入り込み、大きな安心を感じて固いコンクリートの上ですやすや寝てしまった多くの生徒がいました。 作品「母型」で感じた「安心」や「生命」を広島での経験と結びつけ、原爆ドームと豊島の作品は「命の重さを私達に伝える」という点でつながっていると振り返った生徒もいました。

学校で歴史や平和についての知識を学ぶことはできます。しかし地球市民教育には、学校生活からいったん離れ、世界そのものに注意を向け、「世界がいま自分に何を求めているのか」という問いと出会う時間も必要です。この6日間で20人が学んだ内容はそれぞれに違います。すぐにじぶんの答えが見つからなくても、見たもの、聞いたもの、身体で感じたものを持ち帰り、自分自身の問いとして考え続けることも、この研究旅行では大切な学びです。

研究旅行で生まれた問いと学びは、9月に開催されるオレンジ祭で展示する予定です。生徒自身が、広島と瀬戸内で世界から受け取った贈物を、どのように自分の言葉にし、他者へと手渡していくのか。これからの活動にぜひご期待ください。