レポート
2024.09.09
2024.09.09
学校設定科目「PBL(プロジェクト・ベースド・ラーニング)」の一つ「グローバル・アントレプレナーシップ」を履修する2・3年次生が、8月28日~9月5日、ベトナムで活動する社会的企業Tohe(※1)の課題解決の支援を目的として、ハノイ市街での市場調査や販売テストデータを用いた改善提案を行う課題解決型学習(PBL)を、認定NPO法人very50様の協力のもとで実践しました。
生徒たちは、二か月にわたる事前トレーニングでの学びを基礎に、グローバル企業社員や大学生メンターによる指導を受けながら、根拠とロジックに裏打ちされた提案を全員で作っていきました。今年も、東南アジア社会ならではの深刻な社会課題の解決に全力を尽くす社会起業家の優しさと高い志に強く共感することで、自ら何をすべきかを常に考え自分事として行動する生徒たちの姿が見られました。結果、事業部門トップから「これまでの提案の中で最も優れている」「すぐに活用したい」との高い評価を頂き、生徒たちは約1週間にわたるプロジェクト活動が報われた喜びをかみしめていました。
昨年のカンボジアに続き、今年で実施2年目となる海外での課題解決型学習PBLのユニークさは、旅行をきっかけに生徒の価値観や世界観に変化を起こす「変革的旅行経験」(※2)にあると考えています。過度の競争や雑音のために主体的な学習へのモチベーションを保ちにくい日本から離れ、海外での課題解決に自分事として取り組むことで、自ら考えて「実践知」を行動に移せる生徒たちを育てようとするPBLは、本校「地球市民教育」の最も重要なプログラムの一つです。今回の経験を振り返り、今後ともよりよい課題解決型学習(PBL)を企画実践してまいります。
※1:Toheはベトナム・ハノイに本拠を置く、障がい児らのアート作品を活かした衣料や雑貨を販売する2006年創業の社会企業。https://www.tohe.vn/
※2:変革的旅行経験(TTE:Transformative Travel Experiences)とは、旅行をきっかけに既存の価値観や世界観に変化が起こる経験です。内省やふりかえりを通じた、自己肯定感・他者受容感・批判的思考の向上などの変化が観察されています。また国内より海外、新しい出会いや文化的活動への参加などのほうが効果が大きいことが報告されています。変革的旅行経験は、単なる知識やスキルの獲得にとどまらず、共通の善をめざす「実践知」の成長につながる重要な経験と考えられます。